Bowers & Wilkins Px8 S2 レビュー。11万円超フラッグシップヘッドホンの使用感まとめ

Bowers & Wilkins Px8 S2は、音楽そのものと真剣に向き合いたい方のための、妥協なきワイヤレスヘッドホンです。
価格は118,000円と決して安くはありませんが、当然ながらこの価格帯には理由があります。40mmカーボンドライバーによる圧倒的な解像感、aptX Lossless対応による高音質Bluetooth接続、そして触れた瞬間に伝わる上質な素材感。すべてが「フラッグシップ」にふさわしい仕上がりとなっております。
ただし万人向けではありません。強めの側圧による装着感の好み、細部まで聴こえすぎるがゆえの聴き疲れなど、ピュアな音質追求ゆえのトレードオフも存在します。

Px8 S2はこんな方におすすめ
- ワイヤレスでも音質を妥協したくない音楽愛好家
- ジャズ、クラシック、アコースティックなど、楽器の細部まで味わいたい方
- 所有する喜びを感じられる、本物の質感を求める方
逆に映画やアニメ鑑賞がメインの方、長時間の装着が前提の方には、BOSEやSONYの製品をおすすめします。この記事ではその理由も含め、実際の使用感など詳しくお伝えしていきます。
気になった方はぜひ最後までご覧ください。
Px8 S2を選んだ理由

私がこのヘッドホンを手に取った理由は、純粋な好奇心からでした。
最近は様々なワイヤレスヘッドホンを漁っており、Bose QuietComfort Headphones(第2世代)やSONYのWH-1000XM6など、その完成度の高さには十分満足していました。ノイズキャンセリングの効き、装着感の良さ、空間オーディオの臨場感。どれをとっても素晴らしい体験を提供してくれます。
ただ、これまでメインで使用していたのはバランスケーブルで接続した有線ヘッドホンだったので、どうしてもそれらと比較してしまい、「ワイヤレスの限界」はどこまでなのかが気になり始めてしまうんですよね。
Bowers & Wilkinsは、ハイエンドオーディオの世界では名の知れたブランド。スピーカーやアンプで培った音響技術を、ワイヤレスヘッドホンに注ぎ込んだらどうなるのか。118,000円という価格に見合う音質向上があるのか。その答えを知りたくて、購入に踏み切りました。
開封&質感チェック

Px8 S2のビルドクオリティについては非の打ちどころがありません。箱を開けた瞬間に違いが感じられます。
パッケージからして上質で、重厚な化粧箱、丁寧に収められた本体、触り心地の良い専用ケースなど、製品に対する作り手の自信と誇りが梱包から既に伝わってきます。
デザインは控えめでクラシックな感じ。目を見張るような派手さは無いものの、だからこそ飽きが来ません。
ビジネスシーンやカジュアルな場でも違和感なく使える、普遍的な美しさがありますよね。
本体を手に取ってみると、その印象はさらに深まります。
イヤーカップを覆うナッパレザーの質感、アルミニウムのアームが放つ鈍い輝き、継ぎ目の精密さなど、これまで触れてきたどのヘッドホンよりも、明らかに上質な仕上がりを見せています。
安っぽさを感じさせない大きな要因として、ずっしりとした重量感が挙げられます。頭に装着するアイテムなので軽さこそ正義なのかもしれませんが、「しっかり作られている」という安心感に繋がっているような気がしますね。
もう一点特筆すべきは、物理ボタンの存在。
電源ボタン、ノイズキャンセリングボタン、音量調整ボタン。それぞれ形状や押し心地が微妙に異なるため、視覚に頼らずとも操作が可能。タッチセンサーが主流の中、あえて物理ボタンを採用したこの判断には実用性を重視する姿勢が表れています。
音質について

さて、続いて最も重要な音質について。
結論的には非常に上質で、期待以上の音を楽しませてくれました。
40mmのカーボンドライバーが奏でる音は、言うなれば「見通しの良い音」です。楽曲全体の中でそれぞれの楽器がどこに配置されているか、どんな音色を奏でているか、そういったことが手に取るようにわかるような感覚。
ジャズのライブ音源を聴いた際、特にその実力を実感することができました。ベースのうなり、シンバルの余韻、ピアノの鍵盤が叩かれる瞬間の音。これまで「なんとなく鳴っている」程度にしか認識していなかった音たちが、明確な輪郭を持って迫ってきます。
アコースティックギターの弦の振動、ボーカルの息遣い、ドラムのスネアが叩かれた瞬間の空気の震え。細部まで克明に再現される音の情報量は、確かに118,000円の価値を感じることができます。
Androidユーザーにとっては、aptX Lossless対応も大きなポイント。私のメインスマホはiPhoneなので多用はしませんが、対応機器(例えばAndroid端末の一部)と組み合わせれば、Bluetoothでありながらほぼロスレスな音質を楽しめます。サブのアンドロイド端末でも試してみましたが、「ワイヤレスは音質が劣る」という従来の常識を、見事に覆してくれました。
バッテリーも30時間持続するため、充電の心配をせずに音楽に没入できます。通勤、仕事中、就寝前。一日中使っても余裕があるこの持続力は、日常使いにおいて想像以上に快適です。
使用感など

音楽鑑賞での体験

通勤、外出先での作業、自宅でリラックスする際など、様々なシーンで使ってみましたが、どの場面においてもPx8 S2は安定して高い性能を発揮してくれました。
特に印象的だったのは、普段何気なく聴いていた楽曲がまるで別の曲に聴こえたことです。「こんな音が入っていたのか」という発見の連続で、音楽を聴く体験が「浴びる」から「味わう」へと変化したような気さえしてしまいます。
ただ、これには多少の注意点もあります。あまりにも細かい音まで聴こえるため、無意識に「聴き取ろう」としてしまうんですよね。
例えば、作業用BGMとして流しているはずなのに気づけばドラムのリズムパターンを追いかけていたり、ギターのフレーズに意識が向いてしまったりなど、音楽が「背景」になりにくくなったがあります。
これは音質の高さゆえの副作用ともいえるでしょう。
特に高音域の楽器や声なんかは、チクチクと耳に刺さるような感覚があります。
聴き疲れしやすい方、あるいは音楽を「聴き流したい」ような方にとっては、この特性が合わない可能性があります。
物理ボタンの使い勝手

日常使いで地味に便利だったのが、物理ボタンの存在です。
電源ボタンは楕円形で少し凹んでいて、ノイズキャンセリングボタンは丸くて平ら、音量ボタンは縦長。それぞれ触っただけで判別できるため、ヘッドホンを装着したままでも迷わず操作できます。
タッチセンサーの場合、意図せずタッチしてしまったり、逆に反応しなかったりといったストレスがありますが、物理ボタンにはそれがありません。確実に、意図した操作ができる安心感があります。
ノイズキャンセリング性能

ノイズキャンセリング性能については想定通りでした。
というのも、事前に他の方のレビューをみる限りは「期待しすぎるほどではない」といった意見が多く、音質を担保するためあえてノイキャンを切って運用しているというものも見かけました。
実際利用してみると確かにboseやSONYのヘッドホンで見られるような強力なノイキャンではありませんでしたが、普通に快適な利用できるレベル。
電車の走行音、カフェのざわめき、エアコンの動作音。これらの環境ノイズは、しっかりと遮断してくれます。
Px8 S2のノイズキャンセリングは「音楽を聴くための環境を整える」という方向性で調整されている印象ですね。完全な無音状態を作り出すというより、音楽鑑賞に最適な静けさを提供してくれるようなイメージでしょうか。
強めの側圧も、実は遮音性を高める要因になっています。
後述でデメリットとして挙げてはいますが、物理的に外部音を遮断することで、ノイズキャンセリングの効果を補完しているんですね。
気になった点

側圧が強い
先ほども少し触れましたが、数日間使用してみた中で最も気になったのがこの側圧の強さですね。
装着した瞬間から、頭をしっかりと挟み込まれている感覚があり、最初の1〜2時間はそれほど気にならないんですが、長時間装着していると徐々に圧迫感が増してくるんですよね。
私の場合、3時間を超えたあたりで耳の周辺に軽い痛みを感じ始めました。
一度外して休憩すればリセットされますが、映画視聴など一度の装着時間が長くなるような場合にはやや厳しいかもしれません。
購入前にいくつか読んだレビューでも、この側圧の強さについては多くの方に指摘されておりました。
頭や耳の形状は個人差が大きいため、購入前の試着(もちろん視聴も)を強くおすすめします。
この側圧が、先ほど触れた遮音性の高さにつながっているのも事実です。トレードオフの関係にあるため、「どちらを優先するか」という判断になりますねえ。
聴き疲れの問題

Bowers & Wilkins Px8 S2の気になる点2つめが、聴き疲れの問題。
高スペックが故に、音に関する解像度の高さとそれに伴う情報量の多さが半端ないんですよね。
特に高音域の鋭い音、例えばシンバルの金属音やボーカルの歯擦音など、やや強調されて聴こえる傾向があります。
音楽を「じっくり聴く」分には最高の体験ですが、長時間のBGMとして流し続けるのは、人によっては疲れてしまうかもしれません。
私自身、集中したい作業中はあえて別のヘッドホンを使い、音楽を「味わいたい」ときにPx8 S2を選ぶ、という使い分けをするようになっていました。
BOSEやSONYとの比較

このレビューを書くより前に、じつはBose QuietComfort Headphones(第2世代)とSONY WH-1000XM6も2週間ほどレンタルして視聴しております。
ここではそれらのヘッドホンと比較した上での音質の違いなどについて触れてみます。
解像感ではPx8 S2が優位

純粋な音の解像感、細部の表現力という点では、Px8 S2が頭一つ抜けている印象。
楽器の配置、音色の違い、微細なニュアンス。これらをより正確に、より鮮明に伝えてくれるのはPx8 S2ですね。
装着感とイコライザーはBOSE・SONYが上

一方、装着感の快適さでは、BOSEとSONYに軍配が上がります。
特にBOSEは、側圧と遮音性のバランスが絶妙です。しっかりフィットしながらも圧迫感が少なく、長時間装着しても疲れにくい設計になんですよね。
専用アプリによるイコライザー調整の自由度も、BOSEとSONYの方が充実しています。
自分好みの音質に細かくカスタマイズしたい方には、この点は結構重要ではないでしょうか。
空間オーディオの体験

ヘッドホンを装着して映画やアニメなどの映像作品を観る習慣がある場合には、BOSEやSONYをおすすめします。
両者の空間オーディオ機能は本当に素晴らしく、映画館にいるような臨場感を自宅にいながら体験可能。
爆発音が後方から前方へ移動したり、セリフが画面の位置から聴こえてきたりと、この没入感は映像作品を楽しむ上で結構大きなアドバンテージなんですよね。
Px8 S2も今後のアップデートで空間オーディオに対応予定とのことですが、前述の側圧の問題があるため長時間の映像視聴には向かない可能性があります。
10万円以上の価値はあるか
最後にPx8 S2は118,000円の価値があるのか、という点について。
結論的には「人を選ぶものの、刺さる人にはドンピシャ」といった感じです。
このヘッドホンの魅力はやはり「音楽への没入感」なわけですが、ただ音が綺麗なのではなく、演奏の空気感だとか、エンジニアがこだわった音作りみたいな、「音楽の裏側」まで見える(聴こえる)ような感覚になれます。
あとは単純に見た目が最高なところですかねえ。デスクに置いてあるだけでフフッとなるような、所有欲を満たしてくれる質感はさすがです。
とはいえ正直万能選手なわけでもありません。
側圧は強めだし、わりと聞き疲れもしやすい。「3時間映画を見る」とか「一日中つけっぱなし」みたいな使い方はキツイかもしれませんね。
まとめ

以上、今回はBowers & Wilkins「Px8 S2」の使用感についてお伝えいたしました。
Px8 S2は、音楽を愛するすべての人への、メーカーからの真摯な提案です。
妥協のない音質、上質な素材、実用的な設計。すべてが「最高の音楽体験を届けたい」という意志で貫かれています。
価格は決して安くありませんが、毎日使うものだからこそ、本当に良いものを選ぶ価値があると私は思います。
楽曲の細部まで味わい尽くし、 所有欲と実用性の両方を求めるなら、Px8 S2はその期待にしっかりと応えてくれる一台です。
もし購入を検討されているなら、ぜひ一度店頭で試聴してみてください。
側圧の感じ方は本当に個人差がありますし、音の好みも人それぞれです。
実際に装着し、音を聴き、触れてみる。高価なものなので、この体験を最終的な判断材料にしてください。
この記事が、あなたの選択の一助となれば幸いです。
製品情報
- 製品名:Bowers & Wilkins Px8 S2
- 価格:118,000円
- ドライバー:40mm カーボンドライバー
- 接続:aptX Lossless Bluetooth
- バッテリー:最大30時間
- 素材:レザー、アルミニウム












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