【BouliesMasterRex レビュー】英国発本格ゲーミングチェアはミドル価格帯の選択肢となり得るか

自宅でのデスクワークやゲームの時間が増えれば増えるほど、私たちの身体は「座る環境」に対して正直になっていきますよね。
腰が痛い、お尻が蒸れる、リラックスできない……。そんな悩みを抱えながら、「次こそは失敗したくない」とAmazonやレビューサイトを巡回している方も多いのではないでしょうか。
「安すぎる椅子は不安だけど、10万円、20万円のアーロンチェアやエルゴヒューマンには手が出ない」
そんな、3万円〜4万円台という「ミドルレンジ」の価格帯において、新たな選択肢となりそうな一脚に出会いました。
それが、英国(イギリス)で設計され、今世界的に注目を集めているブランド「BOULIES(ブーリーズ)」の最新モデル、『Boulies Master Rex』です。

今回、メーカー様より製品をご提供いただく機会に恵まれました。
ただ私自身、普段は「エルゴヒューマン プロ2」や「スチールケース リープチェア」といったハイエンドチェアを愛用しており、椅子に対する要求基準はかなり厳しい自負があります。
- 正直、3万円台の椅子ってどうなの?
- 本当に長時間座れる?
- 全部入り機能って、器用貧乏なのでは?
そんな懐疑的な視点も持ちつつ、実際に自分で組み立て、2週間ほど使い込んでみました。
結論、この椅子を一言で表すならば「実用性の塊」です。
特に、オットマン付きでしっかりとした剛性感のある椅子を探している方には、かなり刺さる一台だと感じました。

この記事では、「Boulies Master Rex」の実際の使用感やハイエンドチェアとの比較まで、余すことなくレビューしております。
気になった方はぜひ最後までご覧ください。
BOULIES Master Rexについて

「Master Rex」の立ち位置
BOULIESは、イギリスで誕生したチェアブランドです。
現在は中国に製造拠点を置いていますが、設計思想はあくまで英国発。
「英国設計」という響きには、どことなくクラフトマンシップや質実剛健なイメージが漂いますよね。
製品名として掲げられた『Master Rex』のキャッチコピーには、この製品の性格がよく表れています。
英国設計と中国製造の融合が生み出す、プレミアムオフィス&ゲーミング兼用モデル
参照:Master Rexのキャッチコピー
この椅子は純粋なゲーミングチェアでもなければ、堅苦しいオフィスチェアでもない「兼用モデル」なのです。
ゲーミングチェアのような包容力と多機能性を持ちながら、オフィスチェアとしてリビングや書斎に置いても違和感のないデザイン性を目指した、いわば「大人のためのハイブリッドチェア」とも言えるでしょう。
スペック


ざっとカタログスペックだけをを眺めても、このチェアがただの廉価版モデルではないことが窺えます。
- ランバーサポート:4方向調整可能
- リクライニング機能:165°
- アームレスト:4Dアームレスト
- 収納式オットマン搭載
- 素材:W/Rファブリック+マイクロファイバースエード
- クッション: モールドウレタン(コールドフォーム)
- 推奨身長・体重: 155~180cm / 推奨110kg(最大耐荷重 約180kg)
- 骨格: スチール製フレーム × 高強度アルミ合金製5本脚
- 心臓部: SGS認証 Class 4 ガスシリンダー
かなり多くの機能が詰め込まれていますが、ここで注目したいのが「SGS認証 Class 4 ガスシリンダー」と「スチールフレーム」、そして「アルミ合金製の脚」を採用している点。

格安のゲーミングチェアでは主体構造にプラスチック素材が使われていたり、ガスシリンダーのグレードが低かったりすることがあります。コスパばかりに意識が向きがちですが、椅子の基本は「安全に体を支えること」。
耐荷重180kgという数字は、単に体重が重い人向けという意味ではなく、それだけフレームやシリンダーの剛性に余裕があるという証拠でもあります。
また、座面の昇降範囲が45〜54cmというのも、日本の住宅環境や平均的なデスクの高さを考えると扱いやすい設定ですね。
開封&ファーストインプレッション

今回私が選択したのはこちらのチャコールグレイ。
箱を開け各パーツを取り出した際、良い意味で「値段相応な感じ」がしませんでした。
繊維密度の高いモールドウレタンクッションや剛性の高さが伝わるアルミ合金製ベースは、同価格帯のチェアと比較して頭ひとつ分以上抜けています。


上質なファブリック

ゲーミングチェアといえば派手なPUレザー(合皮)に原色のラインが入っているものを想像しがちですが、Master Rexは違います。
メイン素材に使われている「W/Rファブリック」とアクセントの「マイクロファイバースウェード」。
落ち着いた印象を受けるデザインながら、この組み合わせが絶妙なんですよね。
表面を指でなぞると、ファブリック特有のさらっとした感触の中にスウェードのしっとりとした高級感が混ざり合います。

チャコールグレイの色味も深く、光の当たり方によって表情を変える上品な仕上がり。
「いかにもゲーミング」な主張を抑えつつ、所有欲もしっかり満たしてくれる。このバランス感覚は素晴らしいですね。
落ち着いた雰囲気の書斎はもちろん、リビングの一角に置いたとしてもインテリアの雰囲気を崩しません。
硬さのあるクッション

Master Rexの座面は、控え目に見てもかなり硬め。
座面を手のひらでぐっと押してみると、ズブズブと沈み込むような柔らかさはありません。
ただそれは板のようにカチカチしているわけでなく、高密度のモールドウレタン(コールドフォーム)特有の、「強く押すと、奥でしっかり押し返してくれる」ような反発力のある硬さです。
硬いと聞くと一見マイナスな印象を持つかもしれませんが、個人的には非常に好印象でした。

クッションが柔らかすぎる場合、最初の5分間くらいは気持ちいいものの、長時間座っているとお尻が底付きして痛くなったり、姿勢が崩れて腰への負担になったりするんですよね。
「長く座るなら、ある程度の硬さは正義」
このセオリーをしっかりと踏襲している点に、設計者の意図を感じました。
最初で最大の難関が「組み立て」

重量との戦い
正直、Master Rexの組み立てには結構苦労しました。
製品自体「スチールフレーム」や「高密度ウレタン」をふんだんに使っているため、パーツ一つ一つにしっかり重量があるんですよね。


私は普段から筋トレをしており、それなりに重量を扱っているため「椅子の組み立てくらい」と高を括っていた節がありました。
ただ実際に組み立て作業に入ると、結構額に汗が滲んできます。

特に背もたれと座面を結合させる際や完成に近づいた椅子をひっくり返す工程など、物理的な「重さ」との戦いとなります。
可能であれば、二人以上で作業することをお勧めします。
私のように一人で作業せざるを得ない場合には、十分なスペースを確保し適宜休憩をとりながら行うことをおすすめします。
フットレストの取り付けには苦労する

組み立て作業の中でも一番の難所だったのが、フットレスト(オットマン)の取り付けです。
構造としては座面の裏側にフットレストのレールをボルトで固定するのですが、ここに小さな罠がありました。
順序としては「プラスチック製のワッシャー」を挟み、その上に「フットレスト」を置き、最後に「ボルト」で締める、という流れになります。

言葉にすると簡単ですが、ボルトを穴にねじ込もうと力を入れると、その拍子に挟んでいたワッシャーがツルッとズレてしまうのです。
穴に入ったぞと思って確認すると、ワッシャーが半分はみ出している。思わず「ああっ」と声が出るこの現象に何度か見舞われました。
どうしても焦りを感じてしまう工程ですが、ワッシャーの位置を指で慎重に押さえながらゆっくりとボルトを回し始めるのがコツ。

購入を検討されている方は、この部分さえ押さえればなんとかなりますので、心の片隅に留めておいてください。
実際に使用してみた感想など
ここからは、実際に数週間PC作業や映画鑑賞等さまざまな用途で使用してみた正直な感想をレビューしていきます。
「全部入り」の贅沢さとコストパフォーマンス


Boulies Master Rex最大の魅力は、なんといっても「機能が全部入り」であること。
実勢3万円台でありながら、以下の機能がすべて標準装備されています。
- 頭を支えるヘッドレスト
- 腰を支えるランバーサポート
- 足を伸ばせるオットマン
- 自在に動く4Dアームレスト
- 深いリクライニング
通常オフィスチェアでこれらのオプション全てを求めようとした場合、購入価格はどんどん上昇し始めます。Master Rexにはそれらが最初からパッケージングされており、コスパの高さが感じられますよね。

動画編集や執筆などの仕事中は背もたれを立てて集中し、少し疲れたらリクライニングを倒してヘッドレストに頭を預ける。疲れてきたら、サッとオットマンを引き出して動画鑑賞など休息モードへ。
「集中」から「弛緩」まで、一脚の上だけですべて完結するこのシームレスな体験こそが、Master Rexの真価だと感じました。
オットマンの「静音性」について

ここで特筆しておきたいのが、オットマン(フットレスト)の品質について。
最近メインチェアとして使用している「エルゴヒューマンプロ2 オットマン」は10万円を超える価格帯のため各部のクオリティーはどれも高水準なのですが、一つだけ大きな不満がありました。それがオットマンを稼働させる際の「音」。
出し入れする際に、構造上「カチカチカチ!」と結構大きなラチェット音が鳴るのです。

日中は良いとして、家族が寝静まった夜中に操作する際には結構気を使います。
その一方、Master Rexのオットマンは非常に静か。
スルスルとスムーズに引き出すことができ、収納時もほぼ無音。本当にごく僅か「カタン」と軽く収まるだけ。
このスムーズな操作感は、私のように夜型のユーザーにとっては地味ながらも非常に大きなメリットになります。

引き出し式なので、必要な時に「サッ」と取り出せるスピード感もMaster Rexに軍配が上がります。
包容力のある幅広な背もたれ

Master Rexの背もたれ幅は約58cm。かなり余裕のあるサイズ感です。
実際に座ってみると、背中全体をどっしりと包み込まれるような感覚があり、窮屈さが一切ありません。
作業中に少し姿勢を崩したり、あぐらをかいたりしても、体がはみ出ることなく受け止めてくれます。
作業時はもちろんですが、リクライニングを倒して映画やYouTubeを見る時の安定感も高く、大型チェアならではの特権といった感じ。
気になった点
ここからは、Master Rexを使用してみて感じた、気になった点を正直にお伝えします。
座面の硬さは好みが分かれる

先ほど「硬めのクッションが良い」と書きましたが、これはあくまで「硬め好き」の私からの視点です。
もしあなたが、ソファーのようなふかふかした座り心地を求めているなら、Master Rexはやや厳しさを感じるかもしれません。
「お尻が包み込まれるような柔らかさが絶対条件」である場合、別途クッションを用意する、あるいは他のソフトなモデルを検討した方が良いかもしれません。
ただ、長期間の使用による「へたり」を考慮すると、初期状態でこれくらいの硬さがあった方が、製品寿命としては長いのではないかとも思います。
組み立てのハードル


前述した通り、Master Rexは各パーツを組み立てる方式です。
説明書もわかりやすく、完成してしまえば「意外と大変じゃなかったかも」と思えますが組み立て前にはそれなりの気合が必要
「今日は組み立てを楽しむ日だ」くらいの余裕を持って作業に臨むことをお勧めします。
他のチェアとの比較
ここでは、私がこれまで所有・使用してきた他社製チェアとMaster Rexの比較をしてみたいと思います。
価格帯が異なる製品も含みますが、「座り心地」や「体験」の差をイメージしていただくための参考になれば幸いです。
エルゴヒューマン プロ2オットマン との比較

エルゴヒューマンといえば高機能メッシュチェアの王道。
最近ではcofoチェアやグロウスピカなどコスパの高い高機能メッシュチェアが台頭してきていますが、それらを牽引してきたといって良いモデルです。
最新モデルである「エルゴヒューマン プロ2オットマン」は実勢価格10万円〜12万円ほどなので、Boulies Master Rexとの価格差は7〜8万円。
エルゴヒューマンは「メッシュ素材」特有の通気性と、身体のラインに追従するサスペンション感が大きな魅力です。

メッシュ通気性は確かに快適なんですが、冬場は少し寒く感じることもあります。
対してMaster Rexは、ファブリックとウレタンによる「温かみ」と「安定感」があります。
体へのフィット感的にはエルゴヒューマンに軍配が上がるものの、長時間の座り心地は意外とMaster Rexの方が好みでした。
適度な硬さが椅子の上での動きやすさにつながっており、この快適さに繋がっているのかもしれません。
エルゴヒューマンとMaster Rexを比べる中で最も大きな差を感じたのはやはり「オットマン」の使い心地。
先述の通り、エルゴヒューマンのオットマンは動作音が大きく、展開にも少し手間取ります。
対してMaster Rexは「静音・迅速・スムーズ」の三拍子揃っています。
作業〜リラックス時における切り替え易さ、スピード感に関しては、Master Rexが一矢報いる形となりました。
steelcaseリープチェアとの比較

オフィスチェアの金字塔といえばsteelcaseのリープチェア。
背骨の動きに合わせて背もたれが変形する機能が凄まじく、まさに「動く椅子」といった感じ。
新品価格は10万円を超えますが、私はオフィスバスターズにて中古品を購入しております。
座面のクッション性だけで比較すると、リープチェアは意外と薄く、ポリエステル的な化学繊維特有の手触り。
機能優先の「事務機器」という側面が強いのかもしれません。
BOULIESの座面はリープチェアより明らかに厚みがあり、コシのある硬さ。
そして何より、スエード混のファブリックが肌に触れた時の温もりや質感に関しては、BOULIESの方が上質に感じました。
自宅というリラックス空間に置くなら、この「温かみ」は重要なファクターになります。

DXRacerとの比較
こちらは既に手放しておりますが、私が5年ほど前に使用していたゲーミングチェア、DXRacerとの比較。
当時はファブリックタイプで3万円弱くらいの価格でした。現在では合皮タイプが4万円ほどで販売されているようです。
当時使用してたこちらのチェアとの比較となりますが、結論的には「隔世の感」があります。
DXRacerに限らず、当時の同価格帯チェアは座面がすぐにヘタったり、アームレストがガタついたりと、どこかにコストカットの影が見え隠れしていました。
翻ってMaster Rexを見てみると、4Dアームレストのカチッとした操作感、フレームの剛性、ファブリックの縫製など、各パーツにおいていわゆる「安っぽさ」は感じられません。
まとめ

以上、今回はBouliesから販売されている高機能ゲーミングチェア「Boulies Master Rex」の使用感についてお伝えいたしました。
実際に長期間座って他チェアとの比較も行った感想として、3万円台の価格帯で、最大限の機能と剛性、高級感を詰め込んだ、極めてコストパフォーマンスの高い一脚だと言えます。
特におすすめしたいのは、以下のような方です。
- 予算3〜4万円で、失敗しない椅子を選びたい方
- 仕事もゲームも動画鑑賞も、一脚ですべて快適にこなしたい方
- 「いかにもゲーミング」なデザインは卒業したいが、機能性は欲しい方
- オットマン(足置き)の質にはこだわりたい方
- 硬めの座り心地で、長時間の姿勢維持を重視する方
逆に、以下のような方は注意が必要です。
- 雲の上に座るような、柔らかい座り心地を求めている方
- 一人での組み立て作業に不安があり、手助けが得られない方
私自身、これまで多くの(いわばピンキリの)チェアに座ってきました。

最近のメインチェアにしていたエルゴヒューマンをはじめ、アーロンチェアやgestureなど、いわゆる「ハイエンド」に属するオフィスチェアにも腰掛けてきています。
そのような経験を踏まえた上で、Boulies Master Rexに座ってみても「ランクが下がった」という不満を感じることはほとんどありませんでした。
むしろファブリックの程よい反発感や肌触り、オットマンをはじめとした各パーツの機能性は高価格帯にも引けを取らない性能が感じられます。
「高い椅子が良いのは当たり前。限られた予算の中で最良の選択をしたい」
そんな賢い消費者にとって、Boulies Master Rexは、間違いなく有力な候補になるはずです。
組み立ての苦労は最初だけ。その先にはデスクワークに確かな快適性を与えてくれるパートナーになり得るチェアが待っています。

気になった方は是非一度チェックしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。












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