「MDR-MV1」レビュー。SONY渾身の開放型ヘッドホン
色んなガジェット類に手を伸ばし始めた頃から「○○感」という言葉にめっぽう弱くなっておりまして、打鍵感、立体感、臨場感など、五感を揺さぶる類のものにはすぐに反応してしまう身体へと変貌してしまいました。
そんな中現れたのがSONY製ヘッドホン「MDR-MV-1」。
SONY製ヘッドホンとしては珍しい開放型を採用しておりまして、長時間の使用でも快適な装着感、自然な広がりながら解像度の高い音を楽しむことが出来ます。
ワンランク上の音を自宅で楽しみたい方は是非最後までご覧ください。
MDR-MV1について
特徴は大きく分けて下記の3点。
- 背面開放型音響構造
- 360 Reality Audio認定
- 5Hz-80,000Hzの超広帯域再生
それぞれ詳しくご紹介します。
背面開放型音響構造
MDR-MV1ではハウジングを音響的に塞がない「背面型音響構造」を採用。
ヘッドホン内部の反射音を提言し、より正確な音場再現が可能となっています。
最近では音楽系のサブスクやYoutubeなんかでも「立体音響」というワードをよく目にしますよね。
この立体音響をヘッドホンで再生する際には、音源に付与された、空間で発生する反射音の情報を仮想的に再現しております。
「背面型音響構造」を採用することでドライバーユニットの全面と背面の通気が最適化され、立体音響の妨げとなる空間共鳴が抑えられます。
その結果より自然な立体音響を楽しむことができるようになっているわけですね。
360 Reality Audio認定
MDR-MV1は「360 Reality Audio」に認定されており、ヘッドホンコネクトアプリに対応。
耳の形やヘッドホンの特性に最適化することで、よりリアルな臨場感を楽しむことができます。
以前使用していたWH-1000XM3も同様のアプリに対応しており、私も利用しておりました。
MV1ではサウンドブラスターx5に接続しており、そちらでイコライザーの設定を行っています。そのためこのヘッドホンではアプリを使用しておりません。
5Hz-80,000Hzの超広帯域再生
専用開発ドライバーユニットによる超広帯域再生にも対応しています。
低音域の再生に必要な柔らかさと、歪みのない超高音域を再生するために必要な形状保持機能を兼ね備えた振動板による賜物。
複数にわたるシミュレーション、試作によりこれらの条件を満たす専用の振動板形状が導き出されています。
外観
穴の空いたイヤー部分
上述したように、開放型を採用したMDR-MV1のハウジング部外側には穴が空いております。
このようにスピーカーチックな見た目が特徴的。
フレーム部分、耳に触れるスウェード調のイヤーパッド部分は手触りも良く高級感が漂います。
ケーブルは着脱式
MDR-MV1のケーブルは着脱式となっています。
初期で付属されているステレオケーブルの端子は手動で締められるネジ式となっており、ヘッドホンとの結合部を固定することが可能。
私は既に別売りのバランスケーブルへ付け替えてしまいましたが、交換前はこのネジを締めずに使用しておりました。
安定感は増すものの、何かの拍子にケーブルが引っかかった際に引っ張られてしまうので故障のリスクがあるんですよね。
使用感
音の再現性が非常に高い
Apple Musicでの楽曲再生やゲームをしている時など、どのシチュエーションにおいても音の粒度の細かさに驚愕しました。
これまで愛用してきた、同じくSONY製のMDR-7506も非常に細かい音まで拾ってくれていたんですが、こちらのヘッドホンは密閉型なので「ややこもってる感」が否めなかったんですよね。
一方MDR-MV1ではドライバーユニットの通気穴からバランス音が抜けていくので、音の立体感、定位感が非常に自然な感じ。
凝った音楽を聴かない私でも明確にその差を感じますし、とりわけゲームプレイ時の感動は更に大きなものでした。
FPSで敵の足音方向が聞き取り易いのはもはや当然として、近づいたり遠ざかったりした際の距離感にも高い再現性があります。
RPGではまさに「そこにいる感」をしっかりと体感でき、ゼルダの伝説(ティアキン)で試して見たところ初見プレイ時とはまた異なったベクトルでの感動が呼び起こされ、非常に感慨深い気持ちにさせられました。
聴き疲れしない
MDR-MV1の重量はおよそ223gと非常に軽量。
長時間の装着でも十分快適に使用することができます。
先ほど挙げたような密閉型特有の「こもってる感」は長時間使用していると頭痛が起きたりすることもあるんですが、このヘッドホンでは今のところそのような事態とも無縁。
一例を挙げると、アニメや映画の爆発シーンやゲームでグレネードを投げた時など、密閉型ヘッドホンの場合爆発音がグワングワン反響していました。
普段密閉型を使用している方ならわかるかもしれませんが、あれって爆破音が右耳と左耳を行ったり来たりして脳に負荷掛かってんじゃないかって心配になりますよね。
開放型であればそんなシーンでも音が外へスッと自然な広がりで抜けていくので、大きな負担にはなりません。
低音も結構出る
MDR-MV1は開放型ながら低音の響きもなかなかのもの。
「高いヘッドホンなんだから当たり前だろ」と思うかもしれませんが、開放型全般に言える弱点としてこの「低音鳴りにくい問題」があるんですよね。
今回も購入前に開放型ヘッドホンの特徴についての動画や記事を漁っていたんですが、多くの方がこの「開放型=低音がイマイチ」という点について触れていました。
私自身、以前ゼンハイザーの開放型ゲーミングヘッドホンを使用していた際にもそんな感じの感想は抱いていたので、今回もこの点についてある程度の妥協を覚悟しておりました。
そんなハードルの低さも相まってか、実際の音を聞いた際には高音の綺麗さもさることながら「結構ズンとくるな」という感想を抱きました。
EDMやポップスを聴く際のベース音や、上段でも挙げたような爆破シーン(爆発ばっかですみません)の迫力をしっかりとリアルに表現してくれるんですよね。
BOSE系の低音をウリにしているものよりは劣るかもしれませんが、総合的に見れば十分バランスが取れているといえます。
気になるポイント
耳当ての素材感
MDR-MV1のイヤーパッドにはスウェード調人工皮革が使用されています。
パッドの中には十分な厚みのあるウレタンフォームが詰まっており、長時間装着することを考慮した設計が窺えますし、実際付け心地に関しては文句なしです。
ただ、夏場の使用時には汗をしっかり吸収しそうな雰囲気があります。
肌触りの良い毛布的な起毛的な素材感は、涼しさより暖かさへのベクトルが強いですね。
開放型なので通気性自体は良いものの、装着時のムレはやはり多少感じてしまいます。
裏を返せば冬場の使用では割と快適に使えそうなんですが、極度の暑がりである私にとってはやや気になるところ。
ただこのイヤーパッドは着脱可能なので、ある程度汚れてきたら新しいものに付け替えてしまえばOK。
88mm×110mmのサイズが対応していそうなので、私のようにムレや汗が気になる場合でも消耗品として割り切ってしまえば気が楽になります。
音漏れ
開放型の宿命とも言えるのがこの音漏れ問題。
ヘッドホンの構造上音が「漏れている」というよりは「逃がしている」という表現の方が正しいのですが、第三者からしてみればただの音漏れ。
購入後やや大きめの音で鬼滅の刃を視聴していたところ、家族から「その新しいヘッドホン壊れてるよ」と言われました・・・。
普段は書斎で使用することがほとんどですが、夏場はドアを開けているためやや気を遣うんですよね。
私と同じように静かな過ごし方が求められるような方には注意が必要です。
バランスケーブルは別売り
MDR-MV1には6.3mmの標準ミニプラグが同梱されています。
これに対し、同じくSONYから販売されている密閉型モニターヘッドホン「MDR-1AM2」には標準でこのバランスケーブルが同梱されているんですよね。
別にこのケーブルでも問題ないのですが、このヘッドホンはリケーブルにも対応しておりまして、初期付属品からバランスケーブルへの付け替えが可能。
正直この領域からは結構感覚的な要素が多く、キーボードで言うところの打鍵沼に近しいものを感じます。
とはいえ一度気になってしまったら試さずにはいられない病を抱えているため、追加でSONY純正のバランスケーブルを購入。
この後さらに追加でSound Blaster X5も購入しており、既に沼への侵出をキメつつあります。
結果的には確かに音質の向上を感じることが出来たので良かったわけですが、多少の割高感は感じてしまいますねえ・・・。
密閉型が気になる方はコチラ
まとめ
以上、今回はSONY渾身の開放型モニターヘッドホンMDR-MV1についてレビューいたしました。
開放型の構造上、音が外へ抜けていくのが気になるかもしれませんが、それを差し引いて余りある程の音質、立体感が感じられる良質なプロダクトとなっています。
リケーブルによるバランスケーブル接続にも対応しており、自分好みの音をとことん追求していきたいと言う方にも非常にオススメ。
ただ、リケーブルは相当に沼な気がしますので、予算に限りがある方は程々にしておきましょう。
気になった方は是非チェックしてみて下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント